句集の原稿
2016/1/2
句集の原稿は、緑平居で層雲から写してまとめたが、句数は僅々百数十句に過ぎなかった。これが、これだけが行乞流転七年の結晶であった。 私はその句稿を頭陀袋におさめて歩きつづけた。石を磨いて玉にしようとは思わないが、石には石だけの光があろう、磨いて、磨いて、磨きあげて、せめて石は石だけの光を出そうと努...
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場末の二階
2016/1/2
ようやくにして、場末の二階を間借りすることが出来た。そしてさっそく『三八九』を出すことになった、当面の問題は日々の米塩だったから(ここでもまた、井師、緑平老、元寛、馬酔木、寥平の諸兄に対して感謝の念を新らしくする)。 明けて六年、一月二月三月と調子よく万事運ぶようであったが、結局はよくなかった。...
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其中庵の第一石
2016/1/2
こうして其中庵の第一石は置かれたけれど、じっとしていられる身ではない。私はひとまず熊本へ帰ることにした(実をいえば、私には行く方向はあっても帰る場所はないのである)。 冬雨の降る夕であった。私はさんざん濡れて歩いていた。川が一すじ私といっしょに流れていた。ぽとり、そしてまたぽとり、私は冷たい頬を...
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