ばらばらと寺の中へ駈けあがった

 討手の者は頭の声と共に、ばらばらと寺の中へ駈けあがった。住職はそのまま離屋の方へ走って往って、六人の者を逃がそうとした。三四人の討手は住職を追って来て、彼が離屋の縁側へあがろうとするのを押えて捩伏せた。「奥様も御子様達も、早く、早く、討手が来たから、早く、早く」 住職は捩伏せられながら叫んだ。...

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元親の検使に詰腹を切らされた時

 比江山親興が、元親の検使に詰腹を切らされた時のことであった。親興は一人の家来に耳打をして、それを比江村の己《じぶん》の城へやった。それは妻子を落すためであった。親興には五人の小供があった。 親興の妻は家来の報知《しらせ》によって、五人の小供を伴れ、その夜、新改村の長福寺へ忍んで往った。長福寺の住...

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臆病者共が何を云う

 八人御先の噂は日に日に昂まって来た。その噂は元親の耳にも入った。元親は嘲笑った。「臆病者共が何を云う、そんなばか気たことがあってたまるものか」 恐ろしい火の玉は城の中にも飛びだした。その火の玉に当って発狂する者もあった、病気になる者もあった。元親の傍にいた若侍の一人も、その火の玉に往き逢って病...

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