帽子と外套とをとつて

帽子と外套とをとつて此も折釘に掛けながらショールを握つて見た。女は疾から待つて居たのである。僕が座敷へ通つた時に彼はきちんと坐つて居た居ずまひを更に改めた。看護婦の白い服を脱げばいつでも唐棧の衣物であつた彼が纔の間にすつかり身なりの改まつたのには驚かずには居られなかつた。さうして坐に在る間絶えず女へ...

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紙一枚の隔てがあるやうな態度

それが僕獨りになると紙一枚の隔てがあるやうな態度であつた。其癖痒い所へ手の屆くやうに親切であつた。隔離室へ移してもさうであつたから他の嫉妬は益※[#二の字点、1-2-22]募つた。憐れな看護婦は到頭そのために解雇されて宇都宮を去らねばならなくなつた。其時姉と散々別れを惜んだ。二日間姉は彼を引き止めて...

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僕は苦しかつた

然しかういふ相談を掛けた以上もう彼は其の養子に身を任せるといふことは義理の上にも出來なく成つたのであるから先生も能く考へてくれと松田は平生にませたことを附け加へた。僕はそんなことに成らうとは寸毫も思つて居なかつたのだから困却してしまつた。それから僕は郷里に在る父が頑固で到底貧窮の子女を容れ能はぬこと...

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