じゅず玉《だま》がほしい

「私《わたし》、じゅず玉《だま》がほしいの。勇《いさむ》ちゃんとってくれない?」と、光子《みつこ》さんが勇《いさむ》ちゃんのいるところへきて、いいました。 勇《いさむ》ちゃんはきちきちばったを捕《と》らえて、指《ゆび》のあいだにはさんでいました。「光子《みつこ》さん、じゅず玉《だま》がほしいの? たくさん取《と》ってあげるから、こんどタマをいじらせてくれる?」と、ききました。 光子《みつこ》さんは、勇《いさむ》ちゃんがねこをいじるのはしつこくてかわいそうだけれど、いじめるのではないから、「うん。」といって、承諾《しょうだく》しました。「じゃ、このきちきち持《も》っていておくれ。」といって、ばったを光子《みつこ》さんにわたして、自分《じぶん》は草《くさ》むらの中《なか》にはいりました。 ポチが、まっ先《さき》になってとびこみました。 光子《みつこ》さんは、こちらにぼんやりと立《た》って、勇《いさむ》ちゃんがじゅず玉《だま》の茎《くき》を折《お》ってくるのを待《ま》っていました。年《とし》ちゃんやよし子《こ》さんは、あちらでまりぶつけをしていました。青《あお》い海《うみ》のような空《そら》には、白《しろ》い雲《くも》がほかけ船《ぶね》の走《はし》るように動《うご》いていました。 このときです。「あいた!」と、ふいに勇《いさむ》ちゃんのさけぶ声《こえ》がしました。「どうしたの?」と、光子《みつこ》さんは顔色《かおいろ》をかえて、自分《じぶん》も草《くさ》むらの中《なか》にかけよろうとしました。勇《いさむ》ちゃんは片手《かたて》にじゅず玉《だま》の茎《くき》をにぎり、片手《かたて》でほおをおさえて泣《な》かんばかりにして出《で》てきました。「はちにさされた!」といって、目《め》からなみだを出《だ》しました。「はちに?」

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